2025.02.27女将通信
梅見月によせて・・・。
春の訪れを感じる、こちら房総では、
2月も足早に、通り過ぎようとしております。
庭の沈丁花も、一輪また一輪と、
ほのかに香りを放ち始め、楽しませてくれております。
昨年末より、例年にない大雪に、
各地から、様々な被害を耳にし、居た堪れない思いでおりますのは、
私だけでは、無いと存じます。
先日も、バスから降りた長野のお客様、
開口一番、暖ったか~い!と。
せめて、一晩房総の湯に浸かり、
冷え切った、身体を温めてお帰り頂きたいと、
お迎え致しました。
雪国の方々は、車に乗るのも、先ず積もった雪を落とし、
凍ったフロント部分にお湯をかけて、やっとスタート出来ると。
こちらの様に、寒いと申しましても、
車に直ぐ乗れ、発車オーライですから、苦労無し。
何をするにも、トントンとは行かず、
時間の配分も自ずから、違ってまいりますでしょうから、
冬は、全てにおいて、ご苦労な事と存じます。
一昨日も、一日社内会議で、錆びついた頭をフル回転、
それもこれも、お越し頂くお客様に、
最高の一日をお過ごし頂きたい、最高の滞在をご提供したいとの思いからで、
良い話も、時には耳に痛い話や事柄も、全て良き方向に持って行きたいとの、
皆の意見の集約ですので、自宅に帰りましても、
そんな事、こんな事に思いを巡らし、
お客様や働いて下さる社員さんへ、足りないながらも、
心を配れるのは、なんて有り難い事だろうかと、思ってみたりしております。
義母は、病気で臥せっていた義父や、
また亡き後の借金やお商売、残された6人の子供の苦労に嫁の苦労等々、
様々な事を、ただ一人で背負ってやってこられたのですから、
並大抵な事では無かったと、優しく厳しかった母ですが、今はただただ、有り難さと懐かしさで、
感謝の思いしかございません。
今年は吉夢創業95周年。
総支配人が、早々に、北海道の余市のワインを、
95周年吉夢アニバーサリーワインとして作り、
売店での販売を始めました。
大変飲みやすいアルコール度10.5%の白ワイン、
飲んで頂ければ、必ずお気に召して頂けると、
自信を持って、お薦め致します。
お食事の折にも、ご提供頂けますので、
御用命頂けましたら、有難い事と存じます。
海面は透き通り、透明度を増し、
波は、寄せたり返したりを繰り返し、
山々は緑が増し、春の訪れはもう直ぐそこに。
自然は、時に母の様に、暖かく厳しく、
今日も生かされ、許され大きな感謝!!
《少年のソプラノに歌う『流浪の民』この歌を愛でし少女ありしを》
ウィーン少年合唱団の歌を鑑賞された際に、歌が上手だったという
いまだ故郷に戻れない横田めぐみさんの心情を重ねられ想起されて詠む
《言の葉の限り悲しく真向かへばひたこめて云ふ「お帰りなさい」》
北朝鮮より帰国せし二名に会ふ 蓮池 薫・祐木子夫妻
《五月なる日の本の地に来し子らのその父母とある夜を思う》
拉致被害者家族 五人の子ら両親の許に帰り来たれば
歌集 「ゆふすげ」 美智子より
北朝鮮による日本人拉致問題。
以前も、こちらに書かせて頂いた事がございます。
女将通信で、社会問題を・・と、
お読みになって、違和感を覚える方がおいででしたら、申し訳ございません。
これは、私達が住む、日本国での事。
1978年、各地で起こった行方不明者事件、
他所の国から日本に来て、袋に入れて無理やり自国へ連れて行ってしまい、
後は、知らぬ存ぜぬを押し通す。
5名の被害者を返し、もうこの問題は解決したと、
他の方は皆亡くなったで済ませている現状。
何も、私の様な者が、お伝えする事では無いと思われるでしょうが、
観光業は平和産業。
毎日と言って良いほど、お子様づれのお客様をお見受けし、
その美しいあどけない眼に、しぐさに、心揺さぶられ、周りには微笑みが生まれます。
ご両親に抱かれながら、エレベーターに、消えて行く姿に、
「どうか幸せな毎日を・・。」と、祈らずにはいられません。
先日購入した、歌集 ゆふすげ の中の、3首もの拉致問題に纏わる短歌に、
美智子さまの、拉致被害者への秘めたる思いが、
31文字に織り込まれているのを、詠み、
私も、同じ日本人として、長くこの問題を注視し、
決して風化させてはいけないという思いでおりました。
今年は、問題が一歩も二歩も前進し、
被害者全員帰国の祈りが叶うよう、願って止まない思いでございます。