2021.04.23女将通信
卯月によせて・・・。
青葉、若葉の萌えいずる季節となり、
あちらの山、こちらの山にも、とりどりの色が戻ってまいりまいした。
相変わらず、コロナは新型と姿、形を変え猛威を振るって、
旅館業を営むものにも、飲食店同様、大きな影響を及ぼしております。
その中で、長くお世話になっている業者さんの、頑張りのお陰様で、
ロビーの絨毯の張替え、朝食バイキング場のタイル張替えと、
短期間でのリニューアル工事も、無事に終える事が出来まして、
すっきり、さっぱりしたロビーで、コロナ疲れで疲弊なさっておいでの、
お客様をお迎え出来ます事は、
宿業に生きるものとして、格別の思いでございます。
今月も様々な事があり、心の萎える日も、多々ございましたが、
ここで、立ち止まってなどいられません、
一歩、一歩、明るい気持ちで前へと、歩みを進めてまいらねばなりません。
先月もお伝えした息子夫婦のお陰で、私も肩の力が、少し抜けた気がしております。
大学卒業後の、大阪での社会人生活や、昨年来の北海道での、研修のお陰さまで、
正しく「男子、三日会わざれば括目して見よ」という慣用句にございますように、
若い者の力、可能性の奥深さを、日々感じております。
帰りまして最初に手掛けた、朝食バイキング場のメニューも、
総支配人や総料理長と相談し、メニューも増えまして、
スムージーも三種類、生クリーム入りのフルーツサンドや、
デザートも好評の自家製プリンに寒天ゼリーも加わり、
早々からお客様より高評価を頂きまして、
お泊り頂いたお子様からお年を召した方にも、夜に引き続き、
朝からワクワクするようなメニューを、ドンドンご提供出来ましたらと、
それを第一に念頭に置きまして、何事も良きものへ、これからも変えて行きたいと、願っております。
残れるものは、強いものでも、賢いものでもなく、
変化に対応できるものと・・・。
コロナ禍の中、今まで常識と捉えられていた生活様式が、根底から覆されている昨今、
どの様な変化をも、受け入れ順応出来るものが、生き残っていかれると・・・。
いつも、その言葉を立ち止まった折に、考えております。
今の様な難しいと思える局面でも、否、その様な時だからこそ、
差し出される温かい手がある事を、只々感謝しつつ、
心持ちも真っ直ぐに、過ごして行けたらと祈るこの頃、
抜けるような青い空、龍の舞いを思わせる白い雲、
大自然の呼吸に耳を澄ませ、今日も生かされ、許され深い感謝!!
ここの所、ちょっと動くと汗ばむほどの好天気に恵まれ、
空も海も、にくいほどの青さが続いております。
この爽やかな季節に、もう一度釣りもしたかっただろうと・・・、
もうそれも叶わなくなった、若すぎる社員さんとの別れ。
大好きだった海を、愛してやまない二人のお子さんの名前にも、
必ず一文字入れるほどだったのに・・・。
奥さまとの、待ちに待った結婚披露宴を2週間後に控えて、
待ちきれずにあなたは、私達の前から、突然いなくなってしまい、
社長も、数年前より延期になっていた披露宴の、来賓挨拶が出来なくなり、
そんな文句の一言も、とうとう面と向かって、言えなくなってしまうくらい、
一人で遠くへ旅立ってしまいました。
黒い縁取りの、笑顔の遺影を指さして、「パパ!パパ!」と、
無邪気に叫んだ声は、あなたにも、間違えずに届いたでしょうか。