吉夢通信
天の命ずるままに・・・・・・。
2008年12月25日
posted by 吉夢
日本全国、津々浦々女将と呼ばれる方には、それぞれきっと物語をお持ちだと思います。
旅館業とは全く無縁な私も、縁あって東京杉並より、小湊へ嫁ぎ、29年の歳月が流れました。
主人とは、高校1年よりの同級生、まさか、一生の伴侶になるとは、夢々思いもしない出会いでした。
私は父に縁薄く、嫁いでからも、父と呼べる方は、既に他界し、義母は女手一人、60名の頂点に立つ者として、ホテルを切り盛りし、右も左も分からぬ私を、ある時は厳しく、そして、許し、大きく包み込み、育てて下さいました。
折々に下さった手紙は、今も大事に私の宝物となっています。
生家の母も、父亡き後、信仰心篤く、今思い出しても、きつく叱られた覚えは無く、良く働き、後姿で導き育てて下さいました。
一億の人に 一億の母あれど 我が母に勝る母 あらめやも
の、言葉が、二人の母を思う時、いつも浮かびます。
創業明治33年より、連綿とつきないのれんを、広げる事はあっても、下ろす事だけは、あってはならないと、先人達の、我が身を削りながら、保って下さった商いを、母として、妻として、旅館の女将として生かされている我が身を、謙虚に受け止め、また未だ至らぬ私を、女将として日々、立てて下さっている吉夢の社員の皆様と共に、
天の命ずるまま、真っ直ぐ、共に歩んでまいりたいと、澄み切った満天の星を見上げ祈る今日この頃です。
こころよく 我にはたらく仕事あり それを仕遂げて 死なむと思う
石川 啄木 一握の砂より