吉夢通信一覧 女将
母の日によせて・・・・。
昼の月を見ると
母を思う
こちらが忘れていても
ちゃんと見守っていて下さる
母を思う
かすかであるがゆえに
かえって心にしみる
昼の月
(坂村真民 一日一言より)
真っ赤なカーネーションには、
やっぱり白いかすみ草。
ロビーも気持ちも、パーッと明るくなりました。
いつもこの日を忘れずに、
遠いアメリカよりお届け下さる弟夫妻には、
只々感謝!の言葉しか見当たりません。
お花が何よりお好きな母も、大層お喜びでしたよ!
感謝!!
春の土に落とせしせんべ
母は食べ (川端 茅舎)
陽春によせて・・・・・・。
観光業として、激動の3月、4月を駆け抜け、
気が付けば若葉萌える、新緑の5月の声を聞く季節となりました。
暖かい日なら安心し、大雨となれば何やら胸が騒ぎ、
寒い日は彼の地はもっとお寒いのではと、
思いめぐらす事が日常となりました。
東京の娘からの電話で、母校でのお御堂で行なわれたイースターに、
参加してきたとの事。
復活祭とも呼ばれる式典はまず、
「おめでとうございます」から始まるという。
イエス様が十字架にかけられ、墓より復活したといわれる日ですが、
他の意味合いもあるようで・・・・・。
長い冬が終わり、草木に再び生命が甦る喜びを表したものでもあるとも・・・。
震災後、関東近辺、吉夢を含め皆、旅館・ホテル業はキャンセルの嵐に見舞われ、
大きなダメージを受け、2次被災地となっていると申しても過言では無い状態です。
ご心配下さり、お問い合わせ下さる方、
わざわざ、おしてご宿泊におみえ下さるお客様には、
只々有り難く、手が合わさる思いでお迎えし、
先日も、福島のお客様が、
「一晩ゆっくりと休む事が出来ました」と言ってお帰りになられ、
宿冥利に尽きる言葉を頂き、こちらの方が元気を頂戴いたしました。
そんなご縁の一つ一つが、
今の吉夢を支え、押し上げて下さっている。
テレビで 津波に流され、生還された数人の方々が、
口々におっしゃられた同じ言葉は、「運が良かった!!」
それでは、運とは何か・・・・?と、思い巡らす。
今頂いて在る、この生命の意味を、もう一度再認識し、
私も大いなるものに、許されながら生きている我が身を、
今一度甦ったような、神聖な心持ちで、
吉夢の復活、再生に力を注いで行きたいと強く心に留める今日この頃です。
社員さんと共に、満面の笑顔で、沢山のお客様をお迎え出来る日も、
決してそう遠くは無いと、信じて・・・・・・。
人生離別なくんば、
誰か恩愛の重きを知らん。
弥生月によせて・・・・・・。
穏やかな海と青い空、
いつもと変わらぬ3時に近い、午後の風景でした。
あの時間が、訪れるまでは・・・・・。
被害は日を追う事に拡がりをみせ、
未だ長いトンネルから抜けだせない状態にあり、
戦後の復興のようだと、八幡屋の女将さんがおっしゃったが、
まさにその通り。
吉夢も、毎年3月は、花の房総と銘打ち、
今年は例年よりも、沢山のお客様の予約を頂戴しておりました。
その日を境に、こんなガランとした館内を見るとは、予想だにしないことでした。
予約に掛かってくる電話はキャンセルのみ、
しかし明けない朝は無いと信じ、
前を向いて歩くことに、専念したい。
有り難い事に、今日お忙しい中、お越し下さったメーンバンクの支店長さんが、
「社長、上を向いて行きましょう!!」と、優しく背中を押して下さった・・・・と聞き感激!
見渡せばこの時とばかりに、大掃除に取り掛かる客室係さん、飛び回る施設管理さん、
ロビー周りのガラス、鏡、椅子を一心に拭くフロントさん、
自宅待機の社員さん、
ご心配下さり、励ましの電話を下さった沢山の方々、
皆で共にこの山を、手を携えて登りきらなければと・・・思う今日この頃です。
前途は遠い。そして暗い。
しかし恐れてはならぬ。
恐れない者の前に道は開ける。
行け。勇んで。小さき者よ。
( 有島武郎 『小さき者へ』より )
初花月によせて・・・・。
春は名のみの・・・・・・・。
茶一色だった山々にも、梅の白、桃のピンクと、
少しづつですが、しかし確実に春は近づいてまいりました。
お昼に頂いた菜花の辛し和えは、
まさに旬の味!!
旬といえば、千葉県は首都圏の台所と呼ばれ、
北海道、茨城についで全国第3位の農産国、
野菜、お米、牛乳、鶏卵、酪農、果物、落花生、花と、
地産地消、千産千消は言うまでもありません。
千葉は海=魚介類=ひじき・わかめ だけでは決して無いのです。
長狭米、上総牛、房総ポーク、びわは、ブランド品として有名です。
千葉は、手前味噌ですが、アクセスも凄い!!
大都会東京から、海を渡れば、
緑の山々と、青い海に囲まれ、
2時間で小湊温泉郷へお越しいただけます。
お休みが取れましたら、
如何でしょうか?
どっぷりと千葉色に染まってみませんか?
ところで、千葉色ってどんな色でしょうか?
それは、皆様の自由なご発想に、
お任せしたいと存じます。
睦月によせて・・・。
房総は今、
水仙、ストック、菜の花、キンセン花等々、花真っ盛り。
ロビーには、黄金色の夕日のスポットライトが、
まぶしいばかりに輝き、
今日の終わりを告げて、静かに落ちて行きます。
ホテルの中では、
色々なところで、お客様のお褒めや、
お叱りの言葉を頂戴し、一喜一憂の毎日。
私自身、未だ至らぬ身ながら、
いつも心掛けている事は、
その時の感情に任せて言葉を発しない・・・・。
先代の口癖で、大女将から伝えられた、
人はぐっと一度、生唾を呑み込んでから言っても、
遅くない・・・・という教えでしょうか。
後で後悔する言葉は、相手を不快にするばかりか、
自分をも毒する、後味の悪い物となるので、
気を付けて言葉賭けするよう努めております。
その一言で、お客様に寛いで頂き、また喜ばれて、
その一言で、社員さんも元気百倍になって、
気持ち良く働いて下さるならば、
こんなに有り難い事はありません。
人は何を言うかよりも、
誰が言うか・・・に、重きを置かれると、
何かの本で読んだ気がいたしますが、
言い得て妙の、深い言葉です。
年の功で、年々発する言葉に責任という重みが加わって、
かけられたその一言で、私自身が救われる思いになるように、
そんな美しい言霊が自然に出て、
暖かい気持ちになって頂けるような・・・。
新しい年の始めの元つ月に、
決心を新たにしたいと思うこの頃です。
天台宗 ハワイ別院 荒 了寛師 作