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吉夢通信

吉夢通信一覧 女将

弥生月によせて・・・。

2019年03月28日
posted by 吉夢 女将

一雨ごとに暖かくなり、

桜の花も、こちらでは七分咲きといったところとなりました。

3月は別れと、新たな出発の季節。

 

きっと桜の花を悲喜こもごも、胸いっぱいの心持ちで見上げた事を、

思い出される方も、沢山おいでになる時期ではないでしょうか。

私共でも、求人難と叫ばれる旅館業へ、

今年調理師学校を卒業され、調理部に入られた男の子、

数日前より無事高校を卒業された、可愛いお嬢さんを、

どちらも、4月の入社式を待たずに入寮し、

早速、戦力となって働いて下さっています。

 

これからの日本を支えるのは、農業と観光業だと、

社長がある講演会で聞いて来たと、話して下さいました。

旅館業も、団体のバスでのお客さまから、

ファミリー、個人を中心とした形態へ、

数年前より大きく、シフトチェンジしてきていると感じております。

何かの記念日に、ご家族で、ご友人でと、

最近は、〇〇記念日でと、お越し下さるお客さまを、

毎日と申して良い程、お迎えさせて頂いております。

そして、お客さまがご満足でお帰り下さいましたら、

それに勝る私共の喜び、達成感、甲斐はございません。

 

人の心の奥底にきらりと光る宝石があるとしたら、

それは、お宿業で言えば、きっと見返りを求めない無償の行為や心遣い、

お客さまに向ける笑顔であると。

それはそれで、宿泊料を払っているのだから当たり前だと、

言われてしまえば、みもふたも無い事と申せますが、

人生は笑顔でのキャッチボールを、

身をもって、いつも心がけ示したいと、願っているものでございます。

教育がたりていないと、お叱りを受けることも、多々ございますが、

宿業としての、ノウハウは別といたしまして、

今の方々はもう充分に、教育を受けてこられておりますので、

自ら選択してサービス業に、入って来て、

人に言われてやるようでは、心は納得しておりませんので、

決して身につくものでは無く、

自分が心底変わりたいという思い、その気づきを、行動に移すことこそ、

大切なのではと、いつも見守り、

求めて来た折に、私なりの考えを伝え、

その後に本人が取捨選択して、決めていくものと、捉えております。

 

春の海はキラキラと、

そして夕陽は静かに今日の仕事を終え、山へと沈んでまいります。

平成の御代もあとわずか・・・。

今日も生かされ、許され大きな感謝!!

 

先日、奄美の小学校の卒業式の、合唱の歌が目に留まりました。

大好きな竹内まりやさんの作詞というので、

尚一層心に響き、つい口ずさみました。

  

生きてゆくことの意味 問いかけるそのたびに

胸をよぎる 愛しい人々のあたたかさ

この星の片隅で めぐり会えた奇跡は

どんな宝石よりも たいせつな宝物

泣きたい日もある 絶望に嘆く日も

そんな時そばにいて 寄り添うあなたの影

二人で歌えば 懐かしくよみがえる

ふるさとの夕焼けの 優しいあのぬくもり

 

本当にだいじなものは 隠れて見えない

ささやかすぎる日々の中に かけがえない喜びがある

 

いつかは誰でも この星にさよならを

する時が来るけれど 命は綱がれてゆく

生まれてきたこと 育ててもらえたこと

出会ったこと 笑ったこと

そのすべてにありがとう

この命にありがとう

                                    ≪ 竹内まりや いのちの歌より ≫

    

如月によせて・・・。

2019年02月25日
posted by 吉夢 女将

三寒四温、庭からは沈丁花の香り、

梅もここ数日の暖かさで、真っ白な花を沢山つけております。

2月も、あっという間に駆け抜けてしまいますので、

今から、パソコンに向かっております。

  

連日、いじめ、児童虐待、体罰の報道、飲食店でのSNS拡散、

私達は、豊かさ、利便性と引き換えに、

何か大切なものを、忘れてしまってきているのでしょうか。

人生60も半ばを過ぎますと、

生きてきた道のり、今、生かされている意味など、

気づかされる場面に、多々遭遇いたします。

その中で、どのように今の自分を使わせて頂くのが良いのか・・、

より向上出来るのか・・自分らしく生きれるのか・・。

1年に春・夏・秋・冬があるように、

人生も、蕾の時、綺麗な花を咲かせる時、やがて花や葉を落とす時と、

それこそ、これだけは万物平等に、散りゆく時に向って歩いているのでございます。

だからこそ、許され、生かされて在る時こそ、

互いに補いあい、助け合いながら、

歩みを進めて行かなければ、勿体無い気がしてならないのです。

 

平成の御代も、あと数か月、

先日、東京へ行った折、渋谷で開催されておりました、

天皇皇后両陛下写真展へ、寄らせていただきました。

結婚前から約60年にわたるお二方の、いのちの旅の足どりを、

添え書きと共に、観させていただきました。

 

いまだ皇室と国民の隔たりが大きく、

皇太子と平民の婚姻などもってのほかと、

今では考えられぬ事ですが、母君さまはじめ皇室の方、

また「象徴となるべき人が自分のしたいことをするようでは、

国民の尊敬と崇拝をえることはできない」と、国会答弁でも反対の旗印が上がる中、

当の正田家も「あまりに身分が違いすぎる・・・。」と3度のご辞退と・・。

ご結婚までの困難に限らずこの61年、

ご公務、子育て、国民への心の寄せ方など、

守るべき伝統と変えるべきことの、

大きなことから小さなことまでおふたりで、

話し合って決めてこられたと、おっしゃられています。

最近は天皇陛下の杖のように、必ず隣におられ、

お支えしているご様子を国民の一人として見させていただき、

夫婦とはこうあるべしとお示しくださり、

皇室と私共の距離をぐっと縮めて下さった皇后さま。

そして、軽井沢の出逢いから、この方と見抜き、

一生の伴侶にお選びになった天皇陛下の千里眼ともいえる直感力。

そのようなお二人を仰ぎ見ながら、

平成の時代を共に歩めた私共は、幸せ者だったとの強い思いを持ち、

久しぶりの渋谷の雑踏の中、急ぎ足で帰りました。

    

今月は、JR東日本の周遊型臨時寝台列車「四季島」を、安房小湊駅でお出迎えや、

日蓮宗の荒行からお帰りの地元の修行僧の方の帰山式、

誕生寺のお山の降誕会など、盛り沢山の行事があり、

早春の海には、わずかづつですが、

ひじきが波間に見え隠れしております。

 

寒い風にも春の息吹が感じられ、

春はもうすぐそこに・・・今日も生かされ、許され大きな感謝!!

 

語らいを重ねゆきつつ気がつきぬ

われのこころに開きたる窓

{ 天皇陛下 婚約内定の折の御歌 }

≪上流旧華族以上の家から、妃をとらないとしたことは、

遺伝的な考慮ばかりでは決してなかった。

国民と共に考え、共に生きる伴侶としての人を求めていた。

これは旧華族上流以上の人には、求められない姿であった。

現在、美智子の、常に日本国民のことを考え、自分のつとめに忠実たらんとしている姿をみて、

この自分の考えが間違っていなかったと感じている≫

  

                  天皇皇后両陛下肖像画

                  (野田弘志画伯が4年の歳月をかけて制作)

たまきはるいのちの旅に吾をまたす

君にまみえむあすの喜び

{ 皇后陛下 ご成婚前日に詠まれた御歌 }

≪「家庭を持つまでは絶対死んではいけないと思った」と、

お話し下さった時、私は今までの自分の見聞の中にも、

読みました小説の中にも、このように寂しい言葉はなかったと思いました。

そしてその中を二十五年間お歩みになっていらした東宮さまのおために、

力をつくして、あたたかい家庭をお作りしたいと思いました≫

睦月によせて

2019年01月26日
posted by 吉夢 女将

お陰さまで、今年のお正月は、

好天に恵まれ、お越し下さいましたお客さまに、

連日、大きくオレンジ色に染まった夕陽をご覧いただき、

目の前の、誕生寺のお山への初詣り等々、

吉夢でのお正月を存分に味わっていただき、

何よりの事と安堵した年の初めでございました。

 

どこかに出かけまして、鴨川と申しますと、

かならず、鴨川シーワールド、亀田総合病院と殆どの皆さまが、

お答えになる程、知名度の高い病院が近くにあります事は、

私共、お宿業に携わっている者としても、本当に心強く、

身内の病気もさることながら、お泊り下さったお客さまや社員さんの、

突然の体調不良、急病等にも、助けていただき、大変お世話になっております。

私が嫁いだ頃は、お客さまのそのような状態に対応出来る施設が無く、

社長が、夜、閉まった医院の門を叩く事が幾たびもあり、

その度にお医者様から大変お叱りを頂き、

ほとほと困った時代がございましたが、

現在は、何かありましても、亀田総合病院の救命救急センターのお陰で、

直ぐにお連れ出来ますので、

『鬼に金棒』??ちょっと古い言い回しですが、

病院の地域への大きな貢献度は、本当に有り難い事と、

現経営陣の方々、日夜、寝食を忘れて私共の治療に、

あたって下さっている関係者の皆さまには、

この場で、お礼を申し上げたいと存じます。

  

現在の亀田家のご兄弟の、ご活躍は言うまでもありませんが、

そのご両親にあたる、

亀田俊孝前病院長の「地方にあっても、日本一の医療を目指す!!」という熱い情熱と行動力、

諸々の問題、金策に走り回られた奥様の内助の功、

車の両輪のように、どちらが欠けても、きっと成し得なかった大業を、

ご夫妻で切り開き、並々ならない御苦労の末、

現在の礎を作られたことを、

先達ての地元紙で、私も初めて知った次第でございます。

常々「井戸を掘った方の、恩を忘れない」と、申しておりますが、

房総、鴨川の発展に寄与された亀田俊孝前病院長、

そして奥様へ深い謝意を、併せて申し上げたいと存じます。

 

只今、鴨川を車で走りますと、黄色の菜の花で作られた絨毯が、

冬の太陽に照らされて、いっそう美しく映え、

ひと足早い、春の訪れを知らせてくれております。

 

新しい時代の息吹を感じる年の初め、

皆さまにとりましても、良き一年となりますよう、

小湊よりお祈り申し上げます。

ロビーに差し込む夕陽は、まぶしい程の光を放って、

冬の海に沈んでまいります。

今年も皆さまに、良い事たくさんありますように・・・。

今日も生かされ大きな感謝!!

 

今年も社長と100選に行ってまいりました。

社員さんと、走り回って頂いた、汗のにじんだ表彰状です。

 

お正月明け、忘れないうちに反省会を開きたいとの申し出に、

言って下さった客室係の方の気持ちが有り難く、

出席させていただき、沢山出ました色々な事、

明日からの糧にしたいと存じます。

ほんの少しでも、ゆっくり牛歩でも、前に進んで行きたいと、

心新たに、誓う今日この頃です。

暮古月によせて・・・。

2018年12月21日
posted by 吉夢 女将

寒気が日増しに厳しくなり、

12月も、いよいよ押しつまってまいりました。

白い水仙は寒さの中、健気に咲き、

この時期、色の少ない庭を彩ってくれています。

 

5部屋のリニューアル工事完成、調理部長の「現代の名工」の受賞祝賀会等々、

吉夢の10大ニュースも、あげればキリがありませんが、

お宿業にここでいったん終わり!はございません、

今年もここまで何はともあれ、無事に辿り着けましたことに、

感慨深く、只々感謝の念が、わいてまいります。

   

何しろ12月は、あわただしく毎日が過ぎていくので、

普段の月よりも、カレンダーとにらめっこする事が多く、

門松、のし餅、鏡餅、お飾りの手配、頂き物のお礼状書き、

ひとつづつ、印をつけ確認しながら・・、

そうそう!大事な年賀状もありました。

そして、半纏を冬バージョンに交換等など、

寝ていても、あれしてこれして、それはお願いして、と、

最近単語が直ぐ出ないとの合併症と共に、

錆びかかった脳を少しでも活性化させて、

フルバージョンで、取り掛かっております。

何も、西暦と日付が変わるだけの事!なんて、

気休めは一人思うだけにして、

坦々と事を進めていくことだけに神経を集中させております。

 

来週は、吉夢恒例のクリスマスが、24日、25日で開催され、

そして週末には一気に、怒涛の年末に突入してまいります。

今年の年末、年始も、お越し頂きましたお客様に、ご満足頂けますよう、

社員さんと共に、お接待に努めたいと存じます。

沈む夕陽を眺めながら、ゆっくりと湯舟につかり、

美酒と共に、板前さんが精魂こめたお食事に舌鼓をうち、

一年のお疲れを、お取りいただけたら、

お宿業の私どもの冥利に尽きると存じます。

カラオケ、卓球台、夕食後のロビーコンサート等、

併せてお楽しみ頂けましたら、何より有り難いことでございます。

 

「光陰矢のごとし」

平成最後の師走も余日、数えるばかりとなりました。

今年も賜りました沢山のお陰さまに、深く頭を垂れ、

見上げた空には、冬の大三角。

来たる年も、平和でありますようにと、祈りつつ、

今日も生かされ、許され大きな感謝!!

 

先日出先で、昼食にお寿司屋さんに入り、

途中酢の物に、むせた咳を聞いたお店の年配の女性が、

さっとペットボトルのお水を目の前で開け、

持って来たコップに注いで下さり、

私も心で、「これこそサービス業!」なんて、

「残りは、どうぞお持ち帰りください!」と、

素晴らしいお接待だと、喜んでお店を出たのはここまで。

家に帰り、改めて見返せば、しっかりレシートには、水1ケ、

だまし討ちにあったようで、気分の良いものでは無く、

これは同じサービス業に携わるものとしてどういうものだろかと、

何か釈然としない思いで、他の方にもこんな事してなければ良いが、

なんて思ったりもした、出来事でした。

2020と叫ばれる昨今、

人を見たら・・・なんて、寂しい国にはしたくないですよね。

 

霜月によせて・・・。

2018年11月28日
posted by 吉夢 女将

一朝ごとに冷気が加わり、

火の気の恋しい季節となりました。

11月もあと数日となり、一年のあまりの速さに、只々驚くばかりのこの頃です。

 

先日、晩秋の伊香保温泉、栃木の湯西川温泉へ行ってまいりました。

お天気にも恵まれ、まだまだ紅葉も残っており、

車窓から移りゆく景色を眺めながら、目指すお宿へ向かいました。

 

社員さんとの旅行でも、どんな旅行でも、

旅は心をワクワクさせてくれるもので、

そのような仕事に就かせて頂いていることは、

私のような者には気苦労もありますが、有り難い事だと思っており、

社長も、お客様が楽しみに来られ、笑顔でお帰りになられる、

こんな有り難い商売は無い!!と、常々申しております。

だからこそ、社員さんには、時には厳しい事も伝え、

判って頂かなくてはいけないと、思うことも多々ございます。

「人(にん)見て 法(ほう)解け!!」とは、会長の良く使われた言葉。

その人の理解の状態、仕事力を見て、

伝えなさい!話しなさい!と、良く教えて頂きました。

 

最近、ふとテレビで目に止まった輝く女性。

柴田陽子女史46才、仕事は、ブランド・プロデューサー。

ローソンのヒット商品プレミアムロールケーキや渋谷のヒカリエ等々、

多岐にわたる商品開発、店舗プロデュース、コンサルティング業務を請け負い、

業種業態を超えたプロデュースで独自の地位を築き、

二児のママで有り、代官山に事務所を持つ代表取締役。

大学を卒業後、外食産業の役員秘書となり、

上司のお持たせにも、休日に色々な店舗を廻り、こだわり、

常に気遣いの様子が、垣間見え、

「経営者の傍かたわらで言動を見聞きするのは、

何よりの勉強でした。一流の人ほど周囲への気配りがすごかったり、

『 実るほど 頭を垂れる 稲穂かな 』を地でいっているのを、

目の当りにしました。それは話に聞いたり何かを読んだりして得るものとは、

密度が違います、リーダーシップ、コミュニケーション能力、

マネジメントを学んだあの時期があったから、今があると思います」

事務所のスタッフ曰く、「叱り上手にして褒め上手、

叱られ、褒められ、その反復で人は育つ、その機会を作ってもらえて、本当にありがたい」と。

時流に乗って、羽ばたいている女性に刺激を受け、

私も年を重ね、消えかかった火が、また灯り始めるような、不思議な感覚になり、

人を育てて行く中で、自分がまっ先に育てられて行く、

やはり、「愚直なれど、この道まっすぐに!」との、いつもの思いが湧き出てまいりました。

深秋の夕陽は、人を待たずに沈んでまいります、

お越しの際はどうぞ、お早めに・・。

今日も大自然に生かされ、許され、深い感謝!!

 

伊香保のホテルには、もうクリスマスツリーが飾られて、

帰ったら早速、私共でもと。

戻り帰りましたら、既にキラキライルミネーションが輝き、

フロントの方達が飾り付け下さっていて、

有り難いな~!!なんて・・。

 

いつまでも、お客様に優しい宿で在り続けたいと、

スタッフさんに助けられながら、一緒に年末まで、またひと踏ん張り!!