吉夢通信一覧 女将
神無月によせて・・・。
実りの秋、収穫の秋、スポーツの秋・・・、
〇〇の秋に皆さまは、何の言葉を入れられますでしょうか。
私はやはり、一にも二にも、食欲の秋・味覚の秋が、頭に浮んでしまいます。
紅葉の便りを耳にする季節となり、
先日は、北海道の支笏湖、札幌へ行く機会がありまして、
初めて余市へも足を延ばし、
ニッカウイスキーの工場見学の機会を頂きました。
”日本のウイスキーの父”と呼ばれる創業者の竹鶴政孝氏。
自身のウイスキーづくりの理想郷を求め、
スコットランドに似た冷涼で湿潤な気候、
豊かな水源と凛と澄んだ空気がそろい、
モルトウイスキーの原料の大麦や、
スモーキーなフレーバーを加える為のビート(草炭)が、
豊富であることも好条件で、様々な候補地の中から、
たどり着いた場所が、余市だったそうです。
当時の余市は民家もほとんど無く、
雑草と土塊に覆われた湿原が続く寂しい場所、
しかし、氏にはこの海風が吹く原野こそウイスキーづくりに、
理想的な場所であると見抜いたとありました。
昨日、お昼の団体のお客さまをご案内しておりましたら、
小さい頃、父に連れられて良く吉田屋旅館さんに泊まりに来たと、
昔、先代の父が苦肉の策でつくりました、若潮クラブの会員証をお見せ下さり、
また夕方には、ご夫妻でお見えの奥様から、
やはり吉田屋旅館の頃、泊まり、
今回はご主人とお越し下さったとの事、
そんな事を、1日のうちに二度も聞かされることは、
ほとんど無いのですが・・・。
そうです昨日は、父の50回忌の祥月命日の日で、
私共には忘れてはならない日でございました。
朝、ご宝前にお酒と作りました煮物を添え、
日々の感謝を申し上げて、出勤したところの出来事で、
常日頃、心に留めている先人の苦労のお陰さまを、
思い知らされる1日でございました。
ここ数日、高く澄みきった空に、
久しぶりに秋の清々しさをおぼえる数日、
夕陽も見事なまでにオレンジ色に海面を染め、
山に隠れてまいります。
日没も随分と早くなり、カレンダーも薄くなり後数枚、
様々な先人の残した偉業に敬意を表し、今日も生かされ深い感謝!!
余市の工場は、最後にウイスキーの試飲を、
グラスで3杯いただけます。
水、氷や炭酸、全て無料で楽しめるのです。
「入場も無料で、こんな良い思いをさせて頂けて、
お商売になるのかしら?」ほろ酔い加減の私が、つい口から出てしまった言葉に、
連れてきて下さった方が、
「吉田さんのように、何本もそのように買ってくれる人がいるから、
商売になるんですよ!」と、おっしゃり、
ここぞとばかりに買い込んだ大きな袋を眺めながら、
私も納得した訳でございました。
今夜は、いつもの芋焼酎から、シングルモルト余市と行きましょうか。
あ~!!肝臓の数値よ!!いかに・・・。
長月によせて・・・。
空は高く澄み、朝夕の涼風はさすがに秋を思わせ、
今年は、秋刀魚も豊漁と、
私共日本人にとっては、嬉しいニュースが入ってきております。
水害の心配ばかりをしておりましたら、
9月始め未明に、北海道地方を襲った大きな地震に、
青天の霹靂とはこういう事かと驚かされました。
私共の営業部長も、その時期丁度札幌に行っており、
携帯がつながり、無事を確認出来まして、
泊まったホテルは停電で真っ暗、持っていたペットボトルの水で、
顔を洗ったとか・・もちろんトイレも使えず、
その後避難所に移り、飛行機が飛ぶようになり、
無事帰って来ることができ、顔を見て安堵いたしました。
ホテルでも、以前から予定していた避難訓練の実施のようすを、
吉夢通信でもお知らせしましたが、
これからも折を見て、何度でも怠る事なくおこなって行きたいと、
考えております。
お宿業は、安心、安全が、必須条件!!
スタッフ共々、何事においても皆で問題にあたる、
強い共有力を育ててまいりたいと、考えております。
私も、今月誕生日を迎え、60台も半ばとなり、
本当に人生という道は、折々には色々な出来事がございましたが、
あっという間だとの感慨でおります。
16歳で初めて知り合い、
嫁いで40年余り、すっかり房州の風に馴染み、
勤めていた新宿のネオンも、育った高円寺の町並みも、
忘却の彼方となりました。
これからも、置かれたこの場所で、
あたふた、バタバタあらがいながらも、
自分らしく、己を大切に思うように、ご縁のある周りの方々にも、
思いをかけていけたらと、念じております。
あと数日で、10月をむかえ、
路地の柿の木には、タワワに実った柿が色づき始めました。
秋の房総にどうぞお出掛けくださいませ。
潮騒の香りをいっぱいにして、
皆さまのお越しをお待ち申し上げております。
見上げた空には、十五夜お月様、
天地自然のはたらきに、癒され、育まれ、
今日も生かされ、大きな感謝!!
日本を代表する名女優、樹木希林さんがお亡くなりになったと、
連日テレビで、報じられておりました。
ついこの前まで、「死ぬ死ぬ詐欺」と言われていると、
独特のジョークのような語り口で、お話下さっていましたのに・・。
以前の事になりますが、
あの方は毎年春、ある宗教団体の団参で、
旦那様と誕生寺にいらっしゃり、
ある時、内田裕也さんだけお一人で、フラリとおみえになり、
海を眺めながら、ロビーでコーヒーをゆっくりとお飲みになったと、
スタッフが、後日伝えてくれました。
『欲深き人の心と降る雪は、積もるにつれて道を失う。』高橋泥舟
( 幕末の三舟の一人他 勝海舟 義弟山岡鉄舟 )
無駄を好まず、しまつの方だったと聞き、
私も、少しづつ、断捨離はじめようと。
いつか使うだろう、いつか着るだろうの思いは、すっぱり捨て去り、
片付けにも、覚悟と勢いが必要だと気付きました。
この思いが消えないうちに、今年中には絶対、やりますぞ!!
葉月によせて・・・。
暑さいまだ衰えず、
猛暑、酷暑の活字もかすんで見えるこの頃、
皆さまには、ご健勝であられますでしょうか。
お伺い申し上げます。
8月にはいり、毎日行われた、
小湊連夜の花火も、お陰様でお越しいただいたお客様に、
大変喜んでいただき、今年も無事終わり、
気が付けば、8月も終盤に差し掛かっております。
気が付けば・・・とは、おかしな文言になりますが、
毎日々、お客様をロビーでお迎えして、
ともすると、日にちや曜日の感覚が飛んでしまい、
お客様がご無事でお着きになり、
お喜びでお帰りいただく事のみに、心砕く毎日でございます。
ロビーにおりますと、お叱りの言葉を頂戴する事も、
多々ございますが、私が直接聞かせていただければ、
時間短縮、問題解決も早く、何より恐いのは、
起った問題すら知らないで終わってしまう事なのでございます。
夏の時期は、ご家族連れのお客さまが、大勢お見えになりますので、
少しでも、お待たせしないように、
午後からは、社長自らロビーに立ち、チェックインの折の先導を、
率先してやって下さっております。
また、夕方になると、各食事処のヘルプに、
他部所の方が、廻ってくださり、
今年の夏も余日少なくなりましたが、
スタッフ皆のお陰で、大過なく終えることが出来、
有り難いの一言です。
31日には、ご苦労様の夏仕舞い、
社員さんも楽しみにしている事を、耳にしまして、
お席を廻り、お礼の一言申し上げたいと存じます。
平成最後の夏・・・何か、もの寂しい響きですが、
このように、歴史はまわり、
時は過ぎて行くものなのだと思い、
天が与えたもうたこの御役を、
全うして帰れたら、本望と思えるこの頃、
暑い日差しの照る小湊で、今日も生かされ、大きな感謝!!
・・・立正佼成会を創立する前、漬物の行商をしていた私は、
お客さんに喜んでいただくには、
おいしい漬物を作ることだと信じていました。
ですから、値段も安くし、直ぐに味がかわることのないよう、
心配りを忘れませんでした。
福神漬を大盛りにしておまけすると、とても喜ばれたものです。
私は、漬物が売れること以上に、
お客さんの喜ぶ姿を見ることが楽しみでした。
商売でも何でも、人さまに喜んでもらっていたら、
損をすると思う人もいるかもしれません。
けれども、損などしないのです。
お風呂で、お湯を「人さまへ」という気持ちで向こうへ押しやると、
向こう側のお湯が、押しやった分だけ返ってきます。
それと同じように、人さまのことを第一に考えていると、
目に見えない功徳がめぐりめぐってくるのです。
(立正佼成会 開祖 庭野日敬氏)
帰って夜、湯船に浸かりますと、
いつも今日あった出来事を思い返し、一人反省会を始めます。
今日一日、思いあがった態度はなかったか。
伝えた言葉に間違いは無かったか。
ほんの数分の事ですが、わが身を省みる大切な時となり、
明日へのよすがとなっております。
生前義母である会長が、「損して得とれ!」と、
笑顔で話されていたのが、思い出されます。
母も経営者として、母親として日々悩みながら、
一つづつの事柄に、歩みを止めず、解決して行ったのだと、
今更ながら、その偉大さに触れる毎日でございます。
七夜月によせて・・・。
梅雨が明けて、7月だと申しますのに、この暑さ、
連日、熱中症警戒警報が叫ばれておりますが、
御地は、いかがでございましょうか?
先月お伝えしました全国女将サミットへ、行ってまいりました。
羽田空港から、台風の為、九州地方は、
午前中はすべて欠航で驚きましたが、
夕方の便で、何とか鹿児島空港に辿り着け、
スムーズに行けないほうが、
あの時は一人でこうだったと、きっと後々思い出に残ると、
アクシデントも、旅のスパイスとなりますね。
林 真理子女史の講演、期待に違わず、原作者のご苦労話などお聞きし、
夢中で聞き入ってしまいました。
分科会は、「働き方改革」それを自社でなさった、
あわら温泉 グランディア芳泉 代表取締役専務・山口賢司氏が、
お話を下さり、従来の働き方を変えて、
無駄と思われる動き、部所の枠を超えた配置の成功例等、
沢山ご披露下さり、私どもでも出来る事から、少しづつ、
変えさせて頂こう!と、充実した時間を頂きました。
内容満載で、押せ々となり、
欲を言えばもう少しお時間頂いて、お聞きしたかったところです。
何でも、新しい事をする時には、それなりのリスクもありますが、
先ずは取り敢えずやってみよう!!から始めたいと、存じます。
先だっても、お子さま広場はいつからですか?と、
お客様から嬉しいお問い合わせをいただきまして、
また今年も、スタッフ一同、酷暑の中を掻い潜り、
皆さまの夏の思い出の一助になれればと、
準備万端整えまして、皆さまのお越しをお待ちしております。
恵みの雨も、過ぎれば、豪雨と変わり、
この炎暑の中、被害に遭われた多くの方々を思いますと、
心痛むおもいで、ご案じ申し上げております。
皆さまの安寧を、小湊の海より、心からお祈り申し上げます。
夏の夕陽は、雲間に光彩を放ちながら落ちて行きます。
天地も溶けるかと思うばかりの暑さの中、
今日も許され、生かされ、大きな感謝!!
あれは7月の半ばの平日、今年の新人さんのリクエストで、
先輩のあ〇りさんが、ご自分の車で、
東京多摩市にあるサンリオピューロランドに、
休み返上で、朝早くから連れて行って下さり、
中々出来ないことを、いつもサラっとやって下さる、
吉夢の宝物。
4人に、気持ちばかり渡しましたら、
キティちゃんのお土産とお手紙(これが何より有り難かった)
今でも机に飾り、わが身の励みにしております。
常々、何事に置いても思いや意見が通ってしまうほど、
恐いものは無いと、いつも自分に言い聞かせております。
思いが通る時には、その裏で、
きっと誰かが我慢をし引いてくれているのですから。
私も、こんなかっこの良い事申していても、周りの方々に、
知らず々に、我慢をさせてしまっているのだろうと、
深くお詫びし、この場をおかりして、お許し頂きたいと存じます。
水無月によせて・・・。
紫陽花の美しい季節となり、
今、日本全国がワールドカップで、
寝不足の方、多いのではないでしょうか。
当初盛り上がりに欠けていると思われていましたが、
日本が勝ち進むたびに、俄然テレビも、連日取り上げており、
また世界のスーパースターのナイスプレーは、
見ていても心躍り見入ってしまいます。
6月は衣替え、客室係の方達も、明るい着物となり、
季節ごとの模様替えと同じように、
四季のある日本独特の大切な行事のひとつ。
最近は、二部式、作務衣、洋服と、
お宿によりまして、マチマチですが、
重くて、暑い着物を、清々しく着て、お客さまをお迎えする、
先代の会長や社長のこだわりでもあり、おもてなしにも通じると捉えております。
私も毎日、薄い夏の着物に袖を通し、帯を締めますと、
何か心までシャキッと引き締まる思いが致します。
3月に吉夢業者会の皆さんと、
鹿児島指宿白水館にお世話になりました折、
帰りしな、女将さんより7月始めに鹿児島で行われる、
「全国女将サミット2018鹿児島」への、お誘いを受け、
平成最後の年、初の参加でお世話になることに致しました。
基調講演は作家 林 真理子女史、
いくつかの分科会では、『働き方改革』を聴講させて頂こうと。
全国の女将さん方にお会いし、
直に日々旅館を切り盛りする中でのお話等、頂戴できたらと、
少々緊張しながらも、意義深い時間を楽しみに参上したいと考えております。
梅雨明けまじかを思わせる連日の猛暑日、
大阪地方を襲った地震や最近とみに多い幼児のいたましい事件など、
そんな人間の様々な思いをのみ込むように、
今日も夕陽は静かに、向かいの山へと沈んで行きます。
ひと足はやく、天に願いの通じることを祈り、
今日も生かされ、許され・・、深い感謝!!
6月に入りまして、日本の宿 古窯の佐藤洋詩恵女将より、
初出版のご本、『古窯曼荼羅』をご恵贈いただき、
ベットの脇に置き、時間も忘れて読みふけりました。
以前、希望する社員さん方と、社長のお許しを頂いて、
サービス向上を意図した、お勉強を兼ね、古窯さんへお邪魔させて頂きました。
そんなご縁のお陰さまで、毎月「古窯かわら版」を、欠かす事無くお送り下さり、
端から端まで、目を通す楽しみを今も頂いており、
「継続は力なり」を体現し、いつも100選の上位におられ、
何につけ、お手本にさせて頂いております。
私も嫁いだ当初、毎日、事務所での会計事務、
社員さんの賄い作り、併せて家族の食事作り、
チェックインとなれば、玄関でのお迎え、
宴会でのスリッパ並べ、売店の助っ人、お客さまへの夜食作り、
身体は大変でしたが、何でも、義母や周りの人の指示通り、
動いていれば良いだけでしたが、
時を経て、はからずもの女将業、
宿を守る、社員さんの生活を守るという悩みも出てまいり、
40代後半、50代と悪戦苦闘の毎日でしたが、
己が変わらねば・・と言い聞かせ、
ほんの少しづつですが、ものの見方、受け止め方を自分なりに変え、
社長はじめ周りの方に許して頂きながら、やっとこ60代を半ばにして、
立ち位置が見えて来た気がしております。
幸いにも、義母である会長のお傍で見聞きした経験、
母畑温泉八幡屋の渡邉忠栄会長さんとのご縁が深まり、
今でも変わらぬお付き合いを頂いている、和子女将さんや、
前出の古窯の佐藤洋詩恵女将さん、
私にはかけがえの無い、勿体ない、突出した女将さん方や、
吉夢がご縁となる、様々な貴重なご縁を頂く中で、
ひと様に感謝し、思いをかけ、頂いたご恩を少しでもお返しするという日々が、
でこぼこだらけの私の心を、少しづつ円くして下さっているのだと、
やっと、思えるようになりました。
これからも、置かれた場所に甘んじる事無く、
私なりのお役目を果たして行きたいと、
折につけ祈り願うこの頃です。
(こんかいは、あとがきが随分と長くなってしまい失礼致しました。)